2007' 4.21

静岡県 伊豆  河津川

え〜、さてっと。
結構、ホンカクテキに暖かくなってきた様なので、そろそろ川に出かけてみる気になったのである。
ロッドのオーダーも入っているのでそちらも進めねばなるまいが、キャリントンをフル・オーダーして下さった大阪のSさんからは寛大なるお言葉をいただいたので(有難うございます!)甘えさせて頂くこととして、釣りに出掛けるのであった。

日帰りでオープニングを飾るのにはどこの川が相応しいかと頭を悩ませたのであるが、栃木の箒川と並んで最後まで候補に残っていたのが伊豆の河川であった。
最近は私生活的にもどうやら落ち着きを得たようでもあり、なんとなくノスタルジックな気分を味わいたい傾向なんである。

そこで、かれこれ19年ほど前に、春一番の釣りに伊豆に通っていた頃の事を思い出した。
当時はまだ狩野川本流のフライ・フィッシングは認められていなかったので、修善寺周辺の支流でアマゴを釣っていた。
ショップ勤務の頃だったので、親しくしていたお客の何人かと数回釣行したのだが、ある出来事(ここでは書きませんけど)を境に今回までの19年余り伊豆を訪れた事がなかったのである。

伊豆といえば桜で有名な河津川がずっと気になっていて、過去にも行った事がなく、かねがね訪れてみたいと思っていたのであるが、今回いい機会なので決定する。
方角的にも無理がなさそうなので、おととし岐阜に住んでいた時に遊びに来てくれた山梨在住の多忙なファー職人、K夫妻を誘ってみると、仕事が一段落したとこらしく一緒に行ける運びとなった。

午前5時半ごろに三鷹を出発する。
風は強いが、それほど悪い天気ではない。

此処のところ、冬の様な陽気に逆戻りしてしまい、伊豆の遠赤外線的なあのジワーっとくる独特の暖かさが味わえるかどうかはビミョーであるが、雨が降っていないだけでも十分に有難いと思わねばなるまい。

東名高速に乗るのも久し振りのことである。
いつもの見慣れた中央道からとは一味違う眺めの東名側からの富士山は、裾野の広がりが一望出来て一段と雄大に見えるのだった。
伊豆に入ってからの道中。

雲が多くてたまにパラパラと雨が落ちてくる一方、暖かな日差しが降り注ぐ瞬間もあり、雨に洗われた新緑が目に鮮やかである。

天城峠が近づく頃から雲行きが怪しくなって、道の駅「天城越え」に入る時には雨が降っていた。

土産モノはやはり大きな楽しみの一つである。
K夫妻はまだ到着が遅れるようなので、ゆっくりと物色することにする。
当然「わさび」モノが圧倒的に幅を利かせていて、次いでお茶関係があり、地方ではよく見かける猪モノがここにも存在するのであった。

無難にわさび漬けとか、わさび地ビールなんてのも気を引かれたが、私的には「タコわさ」なのである。
タコの塩辛in茎わさび、といった種類のものである。
酒が進むのである。
普段、地元で入手できるタコわさの約3倍ほどの価格差があるのだが、それが味の違いにどの程度出るものなのかじっくり比べてみたいワケである。

土産もの数点をゲットして出発する。

取り立てて文学的嗜好があるわけでもないので、川端康成の世界に思いを馳せるでもなくスルリと天城峠を越えて河津を目指すのである。

名物の一つでもある「ループ橋」をグルグル回りながら下る。
まったく同じピッチの螺旋であるらしく、ほぼ一定のアクセル開度を保ちつつ、ステアリングも切り増しする必要も戻す必要もなく、ぐる〜っと走るのである。

実際に走っている時よりも、どちらかと言えば下から見上げたときの方が構築物として迫力が感じられる。
待ち合わせの場所はループ橋付近にある「川津七滝」のパーキングであるが、到着したのが既に午前10時過ぎであった。
こうなると釣りというよりは、もう殆どドライブと観光気分である。
ユルいのである。

K夫妻からは先ほど道の駅に着いたとケータイに連絡があったので、ココに到着するのにはまだ20〜30分は掛かる筈である。
せっかくなので、ちょいと滝を見学に行ってみる。

「ふぅ〜ん、ナルホドねぇ、」などと呟きつつ適当に風景をカメラに収める。
滝つぼを覗き込むと広くて深いプールでグッド・サイズのアマゴが時おり浮上して来ては流下する何がしかをパクついている。
よく見ると、ほかにも数匹の魚影が確認できる。

これならばきっと下流でも・・・、と期待が高まるのであるが、ま、結果はこのあとで。
滝見物も終えて車で一眠りして目が覚めた頃に、K夫妻とその愛犬2頭が到着する。
久しぶりの再会である。

釣り場を探して下流に移動する。

良さそうな場所を見つけた頃には既に昼近くになっていたので、先にコンビニ・メニューで昼食を済ませる事にする。

ランチを広げに掛かると、腹ペコのK'sファミリー・ドッグスの熱い視線を感じるのである。
サンドイッチを頬張りつつ目の前のプールを眺めていると、2〜3箇所でライズが起こる。
チィさいヤツだが、何かしら魚は居る様である。

ランチの間に、下流からルアー屋さんが2人やって来た。
「釣れましたかぁー?」と声を掛けると、「えぇ、ちょっと」という返事である。

その「ちょっと」という表現をどう解釈するかというモンダイがある。

大きいのがちょっと釣れた、のか。小さいヤツという意味でちょっとであるのか。あるいは普通のサイズのヤツがちょっと釣れたのか。ひょっとすると「ちょっと釣れそうになった」だけかも知れない。何がチョッとだったのかが不明である。
魚種としても、ハヤかもしれないしアブラッパヤかも知れないのである。

更にそのすぐ後ろからはテンカラ屋さんが釣り上ってきた。
やはり有名河川なのである。
K'sドッグス。
キミたち、落ち着きなさい。


2頭同時に狭いトレイルの上り口に殺到して詰まってしまい、どちらも進退ならず、暫くの間この状態のままジタバタもがいているのであった。

私たちは腹を抱えて大笑いである。

さて、メシを食い終わって、ロッドを継いでラインを通す。

先ほどのライズの主を確かめるべくフライを送り込む。
すると、何投目かに#15のドライにピシャリと出た。
合わせが遅れたのでフッキングしなかったかと思ったら、乗っていた。

銀白色でそこそこ引くので、チビあまごだナと思って寄せてみると・・・ン?

おぉ−!イカワ?
オイカワってかっ!!

うぅーん、居るんですなぁ、この辺りでも。
まあ、鮎がメインの川となれば不思議はないか。

オイカワ君と対面するのも相当に久しぶりのことであるし、カワムツやハヤ、アブラッパヤなんかよりは少しだけ嬉しい魚なので、良しとしようか。

ところで、提案である。
これからオイカワ君が釣れた時には、「ミッチー」が釣れたとか、「王子」が釣れたとか言ってみては如何か?

その後がパッタリ続かない。

場所を変えてそれなりに探りを入れたみたのであるが、ここぞと思う様なポイントからもまったく反応が無いのであった。
ご多聞に漏れず有名河川であるがゆえに、もっと早い時期から攻められて魚もかなり抜かれてしまうのであろう。

むしろ、天城峠を越えないで狩野川にするべきであったかナ?

でも、まあこれでどんな川であるのかはじっくり見る事もできたので、気が済んだとも言える。
ドライブと観光、そして何より今年もK'sファミリーと一緒に釣りが出来たコトに意義があるのであった。
渓流シーズンの滑り出しとしては、なかなかに楽しくて、コレでいいのである。

シーズン一発目の釣りでノー・フィッシュというのは、考えてみれば初めての事であった。
ノー・フィッシュ?
いやいや、釣れたじゃないか、「ミッチー」が・・・。

ところで、「タコわさ」である。

帰って早速、食しましたとも。
わさびの質については特に違いを感じ取れるということはなかったけれど、タコは確かに美味いタコを使っているゾ、とは思いましたね。ええ。   ビールにも、よく冷えた白にも、ウィスキーにもとても合うのです。とても。


蛇足の蛇足

使ってみました「RIDGE LINE」追加インプレッション

今回、本番の釣りでマトモに使ってみて感じた事であるが。
残念ながら、やはりコイツはイマイチですなぁ。

シュートした時の腰砕け感はやはり最初に使った時と同様に感じられ、更に水面に落としてからの捌きがよろしくない。

ちゃんと浮いてはいるのであるが、ベタッと浮くのである。
水切れが悪く、メンディングやピックアップにも軽快感がなくて使っていてちょっとモドカシく思う事が多いのである。

ウリとなっているスリットが帯水し易い特性を生んでアダになっいてると言えそうである。
やっぱりULTRA4にしておけばよかったか?