2008
 04.19   山梨県  笛吹川


ようやく私的渓流解禁を迎える事となった。のであるが・・・・。
ちょっと前まではあんなに暖かい日が続いていたのに、いよいよ出掛けようと思うとこの天気である。

昨年の伊豆でもそうであった。
だから、何となく、今年もそうなりそうな予感もあったのであるが、その通りになってしまった。

今シーズンの幕開けを飾るのはどこの川にするか散々迷ったあげく、手近だし行った事もないので笛吹川に決定する。
それにしても、足の遅い低気圧が随分と雨を落として行ってくれたものである。
天候は何とか回復傾向にある様だが、そもそもこれでは川が増水してしまって釣りにならないカモしれない。

それでも支流が何本もある事なので、何とか釣りが出来る流れも見つかるかも知れないし、ダメならドライブと観光気分で一巡りすればいいか、というつもりで出掛けるコトにする。

★★★・・・・・・

ところで、 「なみだ雨」 という言葉がある。

つい最近、親しい友人の身内に不幸があったばかりなので、なみだ雨と言うには少々盛大であったが昨夜までの雨が私にはそんなふうに思えたのである。

私の父親が向こう岸に去った時もそうであったと思い出す。
既に盆に入ろうかという時期であったので、日を置いて行うところの行事も葬儀当日にまとめて執り行うという合理的な手法であったが、墓地で埋骨を行う頃には夏にしては冷たい雨がびしゃびしゃと降っていた。

こんな天気では参列してもらった人たちには申し訳ないな、などと思っていると神官さんが「これは涙雨だからね。」とポツリと呟かれたのであった。
言葉としては知っていたが、このように実際身近に耳にするのはこの時が初めてであった。
それも、神官さんが他意なく、あくまで実感として発せられた言葉であるという響きを私は感じ取ったので、「なみだ雨」という言葉は特別な重みを持って私の中に沈んできたのであった。

それ以来、涙雨は不思議な存在感を放ちつつ私の中に住み着き、なにかの拍子にふと浮上してくる言葉となった。

★★★・・・・・・

さて、釣りはどうなった?

※画像クリックで拡大

中央道・勝沼I.Cを降りて、シーズン・オフのぶどう園を両脇に眺めつつ走ること暫し。

道の駅、「まきおか」。
着いた頃には何だかいい天気なんである。

日差しを受けているとジワッと暑いくらい。
予報よりも好転した様である。
野菜販売所を冷やかす。

山ウドやこごみ、タラの芽などの山菜や、地物の野菜が並んでいる。
朝採りの見るからに新鮮そうなほうれん草に目が止まる。

袋にビッチリ入って\100-である。
店のオバちゃんに、夕方まであるかしら?と訪ねると、「土曜日だから売れちゃうわョ」とおっしゃる。
セールス・トークかなと思いつつも、結局2袋ゲットする。
ももの花が満開である。

下界では既に散り始めているところも多いが、川沿いに上流に行くほど見頃の畑が残っている。

サスガにぶどう畑が多い。

今は全く色気がなくて、毛細血管か神経標本のような網目様のぶどう棚が広がるばかりであるが、シーズンが始まった頃に来たら見ごたえのある光景になるのであろう。
肝心の川である。
本流、支流、見て回るが思ったほどではないにせよ、増水して濁りも少し入っている。

最初に中流部の支流に入ってみたが、濁りが強くて全く魚の反応がない。
本流に戻って更に遡上して別の支流に入る。
ここは唯一、不思議と殆ど増水しておらず、濁りも入っていない。

どうせ釣れないなら、水がキレイな所で気分を味わいたい。
ここで少しねばってみることにする。
何の反応もないまま少し釣り登ると、木のカバーが多くなって先行者の足跡が全くないエリアに入った。クモの巣も張っている。少なくとも今日は誰も入っていない筈である。

果たせるかな、魚の反応が出始めた。
一発、合わせ切れ。

その後、少し釣り登ったところで、クネッと出たヤツを今度こそフッキングする。
以外と力強く走る。
無事ネットに収まったのは綺麗なイワナであった。サイズもまあ悪くない。

今シーズンの初物である。
今年はボーズを免れた。
この1匹で十分である。私は更新された。
カミさんにも願わくば今年の初物をゲットして頂きたい。

目ぼしいポイントをやってもらうが、魚の絶対数は少ない様で、居ないとなると全く居なくなって、忘れた頃に不意に出てフッキングしないのである。

彼女にも一発、いいライズがあったが、残念ながらフックアップしなかった。
魚は基本的にスレていて、一回出ると、フックに触ろうが触るまいが二度と出てこない。
行く道々、様々な花が咲き乱れている。

桜、もも、つつじ、山吹、ハナミズキ、などなど。

この斜面には、色んな花が取り混ぜて植えられていて、色彩の氾濫である。
午後3時近くになって川から上がり、上流のダムの周遊道路にある道の駅「みとみ」に向かう。
この辺りまで来ると、気候が一変して冬の名残が濃厚である。
冷たい風が吹き抜ける。

道の駅で目的にしていた「いのぶたラーメン」を食する。
醤油味で普通に美味いラーメンで好きな味ではあったが、察するに、ネーミングの所以たる「いのぶた」はトッピングとして乗っかっている薄いチャーシュー1枚に頼っていると思われるのであるが、であるとすると、あまりに弱い。

せめてあと2〜3枚はチャーシューが乗っていないと「いのぶた」が恥ずかしがって隠れてしまいそうである。価格を上げてでもそうすべきかと思われる。
ほかにも「いのぶたコロッケ」なるものもあると下調べしてあったのであるが、何故か牛肉コロッケしかなく、仕方なく「いのぶたまん」を試してみたところ、こちらはなかなかに宜しかった。
シッカリとした味のある具がたっぷり入っていて悪くない。

←コチラのお方が、その「いのぶた」サンである。
豚のボディに猪のヘアーといった風貌で、どことなく愛嬌のある顔つきである。

コレは「みとみ」オリジナル・ワインということであったので、買って帰り試してみた。

まあ、テーブル・ワインの領域を出ないモノなので多くは望めないが、白は辛口と銘打ってある割には甘みが強い。ただし、後味がすっきりしてクドさはないのでよく冷やせばソコソコいける。

赤はミディアムとライトの中間辺りのボディで、こちらも後味はスッキリしていて、白よりイケる。
鼻を抜けるときのドライな感じがいい。

夕刻、冷たい風が吹き始めた本流でほんの少しロッドを振ってみたが、何の反応も得られなかった。

シーズン一発目の釣りなので、あまり本気ではやりたくない感じなんである。
例によってウェーダーも履かず、ワークパンツの裾を膝上までめくりあげて、あとはネオプレーン・ソックスにウェーディング・シューズという「突っかけ的」な装備である。
馴らしとしてはこんなところであろう。

天候にも恵まれて、観光を兼ねて楽しい一日であった。

ヘソにコードを繋いで充電していたハズのシャチョーであるが、「家で寝てるほうがいい」とおっしゃるので、デイ・トリップでもある事だし留守番して頂いた。

また、次ね。

蛇足

川を歩くのが今年初めてであるにしても、どういうわけか、やたらと足腰に来るのである。
「こんなにキツかったっけ?」??????
という感じである。

通勤もずっと車になってしまったコトでもあるし、かなりナマっている気がする。
鍛えなおさねばと痛感したことである。