2008
 08.13-15   新潟県 湯沢  其のC


4日目の朝。今日は東京へ帰る。
帰る日の朝である。
シャチョーの身に災難が起きた。

いつの間にか1人で遊びに出かけたらしく、シャチョーの姿が見えない。
辺りを探していると、フレンチ・ブルを連れたファミリーがトレイルを散歩して来た。

私たちが何かを探しているのを察したらしく、「猫ですか?」と声を掛けてくれた。
そうです、と答えると「そこで木に登ってましたよ、珍しいから写真撮りました。コレですか?」
デジカメのモニターを見せてもらうと、そこには白黒のネコがスギの幹の中程にしがみ付いている画像。
正しくシャチョーであった。

急いで行ってみると、いた。

ホントに木の幹にシャチョーがしがみ付いている。
秘書はカメラを取りに急いで戻っていく。

よく登ったモノだ、と関心してると、力尽きたらしくズルズルと下がり始めた。
手が届くところまで落っこちてきたので受け止めてやる。

秘書のカメラが到着するまでは体力が続かなかった様である。

落っこちてきて救出された直後の画像。
私たちにとっては笑い事であるが、彼は必死だったに違いない。

どうやら散歩に出たまではよかったが、前からいきなり犬が来たものだから驚いて夢中で登ったらしい。枝もないつるつるの幹をよくぞ登ったモノだ。
このジイ様にまだそんなパワーがあったとは、オドロキである。

ペースを畳んで車に積み終わった頃、またまた雨がパラパラ落ち始める。

ホントに今回は目まぐるしく変わる天気に翻弄された感もあったが、空気のいい涼しい所で、飲んで食って寝て、ノンビリするのが主目的であったので、十分に楽しめた。
もう一日ぐらい居てもいい気分である。
ま、後ろ髪惹かれつつ去る、というくらいが丁度いいのカモ知れないけどネ。

帰りの高速はドシャ降りになったり、止んだり、また降ったり、晴れたり、次々と天気が変わって行く。

シャチョーは秘書の膝の上で死んだように熟睡中である。

断続的な渋滞に引っ掛かりつつボチボチ帰る。

お盆なので、ご先祖様の魂と同じである。
来る時は早く到着したいので、キュウリの馬にのって駆けて来る。帰りは名残を惜しみつつナスの牛に乗ってゆっくりと帰るのである。

おまけ

使ってみました「シャーク・スキン」  3M  SHARK SKIN  TROUT TAPER WF-4F インプレッション

ラインを新調した。
前回はエアフロの最新版「リッジ・ライン」を購入して使ってみたら、余りにも期待ハズレでガッカリしてしまったので、今度は3Mの最新ブランドを使ってみる事にした。

別ページでレポートしたことが有ったが、「リッジ・ライン」は一番のウリとしていた滑りの良さに関しても「特別」という印象は持たなかったし、浮力もハッキリ言って弱い。
腰が無くて、シュートした時は腰砕けになり易い割りに、コイルが非常に取れにくい。

ウリとなっているスリットは帯水し易い性格を産んでしまい、水面にベタッと浮き、ピック・アップが重い。
つまり、実に十年ぶり位に新調した最新版のラインなのに、目ぼしい進化がまるで感じられなかったのである。ホントに「ガッカリした」のである。
さて、この「シャーク・スキン」である。
ライン表面が文字通り「鮫肌」様にザラザラしてドライな感触である。
リッジ・ラインは一方向のみの抵抗減性であるのに対し、「シャーク・スキン」は全方向に対して有効なサーフェス性を有している。

実際今回の釣りでフル使用したが、今度は期待を裏切らない性能であった。
先ず、特筆すべきはウリとなっている滑りの良さ
ストレス無く「シューッ」とガイドを通過していく。これは「新品だから」と言うレベルの話では全く無い。構造として継続的・確約的に与えられた性能、という種類のモノである。

しかもドレッシング不要と謳われている通り、べた付いた感触が皆無で常にドライなフィーリングである。
ドレッシングを使用しない、若しくは従来ラインよりも使用量が減るのであれば、これはもう立派な環境性能と言えるかもしれない。

浮力も非常に高く、ピックアップでも水切れが良くて軽快にラインが捌ける。
ドライ・ティップ・テクノロジー採用でティップが沈まないというのがカタログでも強調されていたが、さすがに暫く使っていると少しは沈み始める。

但し、この表皮構造はドレッシングを塗布してやれば非常に保持力が高くて落ちにくいので、沈み始めたらティップ部分30〜40cm程度の部分にだけドレッシングをくれてやれば、少なくともその日の釣りをしている間は快適にティップも浮き続ける。
とにかく、釣りを始めてから終るまで、フィーリングの変化が殆ど感じられず、ずっと快適にラインを操り続けることが可能なのは素晴らしい進化である。
そう、最新というからにはこのように明確な進化が感じられなければイケナイのである。

シューティング性能の高さは、バックが十分取れない小渓流で、フォルス・キャスト1〜2回でパッとシュートしてしまう使い方でも高いアドバンテージを発揮する。ロング・キャストだけの話ではなく、むしろラインのウェイトがロッドに乗りにくいミドル〜ショートにかけてこそ明確に差が感じられると言ってもいいかもしれない。
巻き癖も殆どつかず、適度なしなやかさと張りが与えられている。

デメリットとして感じられるのは、しいて言えばその表皮構造がもたらす、ガイドを通過する時に発する擦過音くらいである。
いちいち「チューッ」と高周波の大げさなノイズが発せられる。
慣れるまではちょいとばかり耳障りなのである。

長期的に見ると、ひょっとするとガイドの寿命は従来のラインを使用した場合より短くなるかも知れない。
ラッピングのコーティングも、ラインが擦る部分は侵食が早く進む可能性がある。
もっともこれは、ラインの問題ではなくロッド・サイドの事情である。

何れにしても、その程度のハナシである。
総合的な評価は、これは客観的に見ても高くせざるを得ない。
「リッジ・ライン」の件もあるので、結構、意地悪い目で見たつもりであるが、大した欠点が見つけられなかった、というのが事実である。

価格も高いが、これはいい買い物であったと満足感がある。
さすが、ケミカル・メーカーしとては抜きん出たバックグラウンドの広さと深さを有しているだけに、フライ・ラインに関してのテクノロジーは他のライン・メーカーの数歩先を行っている。

余談であるが、私はロッド・ビルディングのシゴトでも3Mのマスキング・テープを愛用している。
テープをはがした後のノリ残りの少なさなど、使いやすさとしてはベストなのである。
以前、車のボディ・リペアー用品を扱う会社に短期間勤めたコトがあったが、その時の知識としてもケミカル用品は3Mのモノが一番優れている印象であった。

ラインの新調を検討中の方、参考になれば幸いであります。
なんせ、フライ・ラインは安くない買い物であるし、何より実際の釣りで気分良く使えないのはせっかくの貴重な一日を台無しにしてしまうのでもある。

まさにコレは趣味趣向であるワケなので、スキ・キライの問題も大きいが、客観的に性能のハナシとなれば、私は間違いなく「シャーク・スキン」をイチオシしますネ。