Lamiglas  7'0"  #3  2p   Fiber Glass

インプレッション・モデル
Special Presentation
※ページ下部のフォト・ギャラリーの画像が追加してありますのでご覧下さい。

定評のあったラミグラスのグラスロッド・シリーズはスピゴット・フェルールからスリップ・オーバー・タイプへと移行されて、フィーリングは大きく変化した。

スピゴット・フェルール・モデルは過去数本を完成品としてリリースしているので良く知っているつもりであるが、フェルール変更後のモデルは今回、初めて扱う事になるのでテスト用にインプレッション・モデルとして、1本を完成度80%程度の仮仕上げの状態で夏の新潟の渓流に持ち出してみた。


フィールドはこのクラスのロッドには最適なスケールで、樹木のカバー、浅瀬、プールの大場所といった複合的なスポットで構成されている流れである。

釣果としては、掌サイズから尺までのイワナと時折混じるヤマメで、申し分ない状況であった。


さてロッドであるが、旧モデルはとにかく軽快感が一番のウリであった。
ブランクの自重もとても軽量であり、アクション的にも張りのあるバットと軽快なティップで優れたバランスを持つ素晴らしいブランクであった。

今回のモデルは2004年版であるが、変更点として最も大きい部分はフェルールがスリップ・オーバー・タイプになったことである。
旧モデルはブランクと同系マテリアルで出来たチューブラー・スピゴット・フェルールで、軽量で非常にスムースかつナチュラルなベンディング・カーブを描くスグレモノであった。

モデル・チェンジ後は、いわゆるスリップ・オーバー・タイプで、ベンディング・カーブについて言えばこのタイプのフェルールはどうしても硬くなる傾向があって、多くのロッドがそうであるように若干のr ピッチの不自然さを伴うが、一方でパワーの流れがよりダイレクトに伝わるというメリットもある。
さらに、スピゴットの様に磨耗に伴う再調整の必要がないし、スピゴットでは場合によって新品のブランクや完成品ロッドでもフィッティングが完璧に行われておらず、ガタツキの生じているものも少なからず存在するが、このタイプでは発生率が極めて低い。

他には、フェルールの変更に伴い若干のテーパーの変更も行われている様で、旧モデルよりも微妙にバット径が絞られている。
ブランク塗装についてもクォリティーが向上しているが、ブランク壁の厚みが増して自重が大幅に増加している。
フィーリングの変化は、このブランクのウェイトの増加によって主にもたらされていると言えそうである。

張りのあるバットとソフトでありながらキレのあるティップというミディアム・スローのアクションそのものは基本的に踏襲されている。
ウェイトの増加により、かつてのようにピュッと軽くティップが返る特筆的な軽快感はスポイルされてしまったが、その代わりバンブー・ライクなしっとりしたシルキーなフィーリングを獲得し、バットのトルクも強化されて更に余裕が生まれている。

キャスティングに於いても、馴れないとピッチが忙しくなりがちなショート・ロッドの中にあっては比較的ゆったりと振る事が出来ると言えるであろう。
トルクも上がっているので、プールが出現しても十分なパワーを与えられたバットがしなやかに荷重を受け止めてロング・キャストを可能にしているしサイドからのナローループによる樹木のカバー下へのねじ込みから、瀬の開きにキャストして細かいメンディングを行う様なシチュエーションでもキレの良いティップで的確なメンディングをストレスなく行うことが出来る。

近距離からのフッキングについても、グラス特有のソフトなティップの恩恵で格段に合わせ切れが減少するし、魚を掛けてからも実に楽しい。
アベレージ・サイズの魚でも十分に楽しめるし、尺モノのファイトでもタメが効くバットのパワーで安心感を持って楽しむことが可能である。
実際、今回は尺を2本と20〜28cmを数匹このロッドで掛けたが、シッカリとした安心感の上で十分に引き味を楽しむことが出来た。
旧モデルと比較して軽快感こそ失われたものの、投げても掛けてもじつに楽しい優れたバランスのロッドであることはゆるぎない事実であると言えそうである。
グラファイト・ロッドからの乗り換えや、初めてショート・グラスを使う人にも取っ付き易い素直でナチュラルなグラスである。

7ft以下といえばショート・ロッドと言って良いかと思うが、ショート・ロッドはやはりグラスをおススメしたい。
グラファイトより格段にスムーズなショート・レンジでのラインの乗りの良さ、合わせ切れの少なさ、魚を掛けてからの面白さ、バンブーに比べて気楽に使い倒せる気安さなど、実用性、付加価値ともに夏のスタンダードとして高い魅力を持っている。
7ft半を超えたらグラファイトの領域であると考えている。


本当のボサ川や跨いで渡れるような細い流れであれば6'6"にアドバンテージがあるが、カバー、プール、オープンな瀬など、複合的な要素を含んだ上流域の小規模渓流では、ドリフトする際にももうちょっとリーチが欲しいと思う場面が意外と多いものであるが、そんな時にも7'0"というレンスは半端な様で実はとても使い勝手の良い長さである。

このロッドで使用するラインについては、腰のないタイプのラインはマッチしないので避けたいところである。
今回の釣行でも、エアフロ・リッジ・ラインを初日に使用したのであるが、腰砕けでループも開き勝ちになり乗りも伸びも良くなくて、チョッと風が吹いているような場面では特にイラつく事が多かった。
後半、3Mウルトラにラインを交換してからは胸がすくようなライン裁きを楽しむことが出来た。

ラインは選ぶロッドである。
推奨するのは、DTよりもWFの#3〜4である。
更に、ショート・ロッドで快適なゲームを楽しむコツとしてリーダーの長さは重要である。
最近はロング・リーダー全盛なので流用してしまいたくなるかもしれないが、ライン・トラブルを少なくしてコントロールも容易にするためには、基本的にはロッドと同じ長さのリーダーと+ティペット60cm〜80cm位である。



★フォト・ギャラリー★
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