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2004.1.03     山梨 鹿留

昨年は気が付いたてみたらどこにも出掛けないうちに終わってしまったのだったが、だからというワケではないが今年は正月早々、管理釣り場にアソビに行ってみた。

夫婦2組にネコのムッちゃんという面子である。
ムッちゃんも車に乗るのは長いブランクがあったので、間違いなく酔っ払うのは予想するに易い。ので、デイ・トリップだし置いてくか?とも考えたのであるが、今シーズンの予行演習と気分転換にもなろうと連れて行くことにしたのだった。

風もほとんどなく穏やかに晴れた。
T-4のステアリングを握るのも久しぶりで、渋滞する上り線を尻目に、見事な白富士を眺めつつ気持ちよく中央道を下って、午前10時半ごろ鹿留に到着する。

前日の状況をwebサイトでチェックした時は入場制限をしていたので、ひょっとするとパインレイクには入れないかも、と思いつつ受け付けに行くと「ギリギリOKです」と言われて一安心。
料金を払ってエントリーする。

男 \7,000-、女 \6,000-という料金設定は、オープン当初より引き下げられたとはいえ、やはり安くはあるまい。
ついモトを取らねば、などと考えてしまう。


というワケで、

出陣の前に、チリソース付タコスチップスなんぞをツマミに軽く朝ビールを引っ掛ける。
ルアー専用日が設定されてから来るのは初めてで、それが如何なる影響を及ぼしているのかは今日、知るわけである。

だいたい満遍なく人が散っているという混み具合である。
無風で暖かく、ドライでも結構楽しめそうなイイ雰囲気ではあるが、水面を覗いてみるとナンだかヤル気なさそーなお魚君たちが、ボォーっと佇んでいるばかりで、これだけ人がいても曲がっているロッドはほんの一本か二本程度である。

でも、マ、やってみなけりゃ判るまいというので、空いてる場所を見つけてラインを伸ばしてみると、遠ざかる魚はいれどもフライを見に来るヤツは皆無である。完全にシカトされている。
ナンて言うか、全体的に「シラー」っていうムードが蔓延しているのであった。

どうもサカナたちは「疲れきっている」といった風情である。
管理場だからといってナメてはいけない。
はっきり言ってヒジョーにキビしい状況である。


ルアーが入るようになった事も魚がスレた要因の一つであろうと想像されるが、年末からタップリイジめられていることが何より大きいのであろう。
言わば、サカナも正月疲れですナ。

それでもウェイトをシッカリ巻き込んだニンフをずーんと沈めて、ようやく一匹キャッチ。
ヒレも綺麗に張ってグッドコンディションのニジ。
しかしながら後が続かない。
時計を見るともう昼を過ぎている。

なんだ、メシの時間じゃないか。
我々夫婦は例によってキャンパーのバーナーでコンビニのアルミ鍋シリーズを暖めてビールと供する。

ネコ社長は日差しで十分に温まった車内で、ルーフに上ったりして遊んでいる。

ホリデイロッジのレストラン・ランチに行っていたW夫妻が戻ってきたが、婦人は「ミミズみたいに伸び切ったスパゲッティだった。ミミズは食べた事ないけどきっとあんなのよ。」としきりにグチっておられる。
サカナも釣れないし、ダンナは自分の釣りで一生懸命でなかなか見てくれないしで、せめて昼メシくらいは美味しいものを期待したくもなるであろうに、ミミズパスタでは気の毒と言うほかない。

快適なレストハウスに入ってフリードリンクになっているコーヒーを飲んで一息いれる。
なんだこりゃ?
猫シャチョーの弛んだ腹でした。

昼からは気分転換にちょいと上の川のエリアに行ってみる。
ポンドと違って空気が格段に冷たい。
サカナの反応はコッチのほうがいいのだが、如何せんサムイ。

軟派な私たちである。すぐにパインレイクに逃げ帰る。

気を取り直して釣りを再開するが、あまりにもおサカナ君たちはシブイ。
カミさんはまだ一匹も掛けていないので、何とかせにゃと思っているところへ救世主あらわる。

「釣れましたか?」
パインレイク専属の「フィッシング・アドバイザー」氏が声を掛けて下さった。
どっかで見たコトのあるカオだゾ、(雑誌に出てたかなー?)と思いながら「ドーモ、ドーモ」と挨拶をする。
そこでワタシの脳味噌のズルい領域が計算を始める。
この際である。
アドバイザー氏の胸に身をゆだねてみるのも手である。
「郷に入りては郷ひろみ」とも申すではないか。

これでウマいことカミさんにヒットすれば良し、釣れなきゃ氏に責任転嫁することも可能ではないか、などと素早く算段し、素直な初心者を演ずる方向で決定を下す。

氏がどれどれとフライを見て、「では食わせる方向で行きましょう。」と言うが早いかフライを切り離し、ティペットもカットして改めて長いのを結びなおしてショットを噛ませ、あろうことかその先に今まさに結ばれようとしているのは、イクラ?、イクラではないかーっ!!
「あぁ、アァ、なんてことを ! ・・・・。」と思いつつもアクマでもにこやかな表情は崩さずに見守るワタシをよそに、テキパキと準備を整え、見事なロールキャストで「イクラ」を飛ばしカミさんにロッドを手渡すアドバイザー氏。
意地とプライドのバケツに重いフタをして、氏が「リーダーの表面張力でアタリを取るのですョ」などと説明してくださるのをフムフム、と知ってるケド知らないフリで頷きながら聞いていると、イキナリ「来たー!!」と黄色い声が上がる。
我に返るとカミさんのロッドがひん曲がっている。

あれま、ホントに釣れたゾ。
(そういえば昔ショップに勤めてた頃、冬にエッグフライが良く売れたな)などと思い出す。

カミさんがノされるロッドにしがみついて右往左往しているうちにキレイなレインボーが上がってきた。
口にはまるでモノホンのイクラであるかのようにガップリとエッグフライが咥え込まれている。

果たせるかな、彼女はその後コンスタントにアタリが出て数匹の魚とのファイトを楽しんだのだった。
僭越ながらこの私も「ハイ」と手渡された「イクラ」を素直にティペットに結びその恩恵に与らせて頂いたのであった。

「ウ〜ン」ワタシは唸ってしまった。
恐るべしエッグフライ。恐るべしアドバイザー氏。

W氏には「キミも地に落ちたね」などとけなされつつ、せっかく高いカネ払ってんだから釣れないよりゃ、釣れた方がよかろ、と呟いてみるのであった。
サスガに山は日が落ちると一気に強烈な冷え込みがやって来る。
午後5時過ぎには寒さに耐え切れなくなって納竿したのだった。
さて。
今日のような状況を目の当たりにしてしまうとですナ、この次またココに高いカネを払ってでも来るであろうかと考えると、これは極めてビミョーと言わざるを得ないのでありました。
悪しからず。

帰り道はゆっくり飯を食ってから高速に乗り、予定通り渋滞にはまり、珍しくT-4カラベルの後期型を発見して「あっ、おともだちだー」なんて言いながら並走しつつ帰ってきたのであった。


久々お出かけのシャチョーさん。
期待を裏切ることなく見事に激しく車酔い。
メシは抜いてあったのだが、カニみたいに泡を吹くやら、唾液と胃液を正月でクリーニングしたばかりのT−4の車内に数回に渡って撒き散らし、すっかりヒンシュクを買ってしまったのであった。
「ムクちゃんはキライじゃないけど、ゲロを吐くムクちゃんはキライ!!」とはW婦人の弁。

帰ってからはミョーに元気で、いくらメシを食っても満足せず催促の嵐。
やっとオトナシクなったかと思ったらこんなカッコで寝ちゃいました。
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