2005'

5/21
今回はゲストに山梨に住むお友達を迎えて、地元を流れる白川の上流部でロッドを振る。

ここ数日、肌寒い日が続いたが今日は穏やかに晴れて気温も上がった。
風も弱く、久しぶりに会う友人との釣りには何とも相応しい日和となった。

少し上のプールにルアー屋さんが1人いる以外、見える範囲に同業者はいない。
この付近の流れは、比較的早い時期に人気があるようだが、本格的にアユのシーズンを迎えるまではそこそこアマゴが楽しめる筈である。

・・・という見込みで選んだ場所ではあるが、確証があるワケでなし。
折角とおい所まで来てもらうのに、ノー・フィッシュでは申訳ないし、ネ。

どうか狙いが当りますように・・・。
友人夫妻は一緒に暮らす2頭の愛犬と共に、長い道のりをやって来てくれた。
わんこの黒い方は、以前ウチのネコシャチョーにぶん殴られた事もある「ナス」。
手前の茶は、新しくファミリーに加わった「タロウ」君。彼は猟犬の出で、前肢の1本を「多分、鹿に持っていかれたらしい」、という名誉の負傷を負ったプロフィールを持つのであった。


何とか魚の姿が見られる事を祈りつつ、道の駅「加子母」で待ち合わせて、そのすぐ下を流れる川で釣りをする。

時間は既に昼を過ぎている。
順調に気温は上がり 暑いくらいの陽気で、Tシャツに短パン、そしてウェーディング・シューズという夏のクロッシング・スタイルで快適である。
水温は温からず、冷た過ぎず。ウェーディングに丁度心地よい加減である。
大抵、膝くらいまでの水深のところが多く、開けた川原は歩きやすい。
フライ向きの流れである。

釣りを始めて幾らもしないうちに、足を取られていきなり水の中に尻もちをついたのであるが、ちっとも冷たくない。

小型のスピナー、#10前後のストーンのハッチがボチボチと、そして#16位の小型のカミキリムシ系のテレストリアルが見られる。
そしてオイシそうなスポットにジッと目を凝らすと、明らかなライズが起こっている。
雑魚も居る筈だが、あれは多分、アマゴのライズである。
流れ込みが岸から伸びた柳の枝でカバーされており、そこを潜って流れ出してくる水深のあるフラットである。
先ほどライズがあった場所にいつものパラシュート・アントを流すと、2〜3投目に水面が割れた。

出た時の感じでは煮干サイズを想像したが、意外にも小気味良くロッドを曲げる。
ネットに収まったのは小型ながらグッド・コンディションのアマゴ君であった。

なかなかに楽しませてくれた。
一匹目をリリースして、さて次は、と目を走らせる。
すると、更にすぐ上のスポットでもライズがある。

今度はカミさんに釣らせようと思って例のごとく2人羽織でキャストする。

どうしても手前の流れにラインが持っていかれてフライにドラッグが掛かってしまう。
彼女にとってはナチュラルに流すのが難しいシチュエーションである。
それでも何度かいいラインをトレースしてフライがドリフトされると、さっき釣れたのと同じくらいのサイズのアマゴがフライを見にきてUターンするのが見て取れる。

フライを変えてみようかと思っていると下流から友人が追いついたので、交代してやってもらう事にする。彼はまだ魚を掛けていなかったし、リアルパターンのフライを結んでいたので、アレなら出るかもしれないと思ったからである。
果たせるかな、思惑通りに事が運び、私が「あの辺」といって指したあたりに氏が3投ほどした所でピシャリと出た。

コイツもなかなか粘り強く走り回る。

氏が渓流でまともにフライを振るのは1年ぶりであり、これは貴重な一匹であることを承知していたので、ここは大事に私がネットを出して魚をキャッチする。
やはり素晴らしいコンディションの美しいアマゴ。
決して大きくはないが、価値有る一匹である。

氏はとても喜んでくれて、私も無事に釣ってもらえてホッとする。
この一匹の意味は大きく、はるばる遠い所を来てもらった甲斐があったと云うものである。

いゃぁ、良かった良かった。
今度こそは、カミさんの番だ。

目を凝らすと、その更に上のポイントでも、これはまたおあつらえ向きにライズしているヤツがいるじゃないか。
意外と魚がいるのだね。

数回アントを流すが出てこない。フライをパラシュートに巻いた#14のペイル・モーニング・ダンに交換して流芯付近にキャストする。
と、フライが着水した瞬間にいきなりいいサイズのアマゴがドヒャッと飛び出した。
モチロン、彼女の合わせは間に合わない。

ここが2人羽織キャストのウィーク・ポイントで、フライ着水直後はまだ体制が整っていないのであった。
「早すぎるよーっ!まだ心の準備が出来てないのにー!!」と秘書サンはボヤく。
「蒲田川よりもお魚いるじゃない」ともおっしゃる。
残念ながら、あの魚はもう出てこないし、めぼしいポイントはこの辺りで終ってしまう。

今日は土曜日で、ここは「道の駅」の真下である。
しかも何箇所も川へアクセス出来るトレイルが設置されているので、カップルやら子供やらが川遊びをしていて、この上流はポイントがつぶれている。
場所を変えることにして、車で下流に移動する。

下流のポイントでは、もう既にアユがかなり幅を利かせ始めていて、目ぼしいスポットを占領して群れでギラギラと光っておられる。

しばらく探ってみるがアマゴの反応は薄く、カミさんがドリフトする難しいポイントから数回、明らかにアマゴと確認できる魚体のアタックがあったものの、やはりフッキングには至らなかった。

友人も長距離を走ってきて疲れているし、一応魚も見られた事である。
ま、目的は果たしたとして良いであろう。
まだ時間は早いが、そこでロッドを収めるコトにした。

久しぶりの再会は、素晴らしい天候とそして一匹の美しいアマゴのお陰で、とても充実したものとなった。
めでたし、めでたし。

HOME TOP