2009'  

 08.22  「忍野 DE テレストリアル・ちょっとそこまで3時間?」    山梨県・忍野 


品薄で予約待ちになっていたETC車載器が期せずして入荷し、装着したとたん皮肉にも高速に乗って出かける機会が遠のいた。
ま、得てしてそんなモンである。

G.Wのあと、たまたまが重なってタイミングを逃し、以来2月ほどの間まったく釣りに出掛けていなかったのである。
ロッド関係のシゴトも前半のスロー・ペースのツケで蓄積しており、サスガにスパートをかけないと今年の渓流もクローズになってしまうので、ココ暫く休日はロッド・ビルディングに当てていた事が、まずある。

そして更にどういうタイミングだか、ウチの猫シャチョー「ムク」様がちょっとした疾病に罹った。
肛門の両脇に臭いを分泌する臭腺があって、それが詰まることで中の袋が炎症を起こすという病気である。
まあ、それほど大したコトではなかったが、連れて出掛けるのはモチロン無理だし、長い時間目を離して留守番させるのもちょっと心配という状況である。
詳しくはコチラでご覧頂くとして。

そんなこんなで「ひょっとすると今シーズンの釣りはもう諦めカモ・・・・」と思っていたところであったが、ロッドの仕事にもどうやら一区切りを着ける事ができ、秘書の連日の看病の甲斐あって猫シャチョーも急速な回復を見せて、どうやら一安心というところまできた。
そこで気分転換に釣りに行ってみようかという気になったのであるが、いかんせん、まだシャチョーを車に乗せて出掛けるのには時期尚早である。
シャチョーを家で留守番させて日帰りで行ける手近な場所と考えると、極、限られる。
結局、手軽に行ける忍野に決定する。
春に行って、「テレストリアルの時期にもっぺんやってみてぇ」と思ったのを引きずって具現したカタチとなった。

WEBサイトの高速渋滞予想を見ると、45kmなどという数字が目に入るがそれを理由に断念するほどにはテンションが低くない。
何しろ、久し振りに釣りが出来るのである。

渋滞は覚悟の上で22日(土)、午前6:30近くに中央高速に乗る。
すると調布I.Cで乗ったところから既に渋滞している。ハハッ、やっぱりネ。

例によって高速に乗る前にセルフ・スタンドで給油ついでに併設カフェで仕入れてきたナン・ドッグをパクつきつつ、金魚のウンコになってユル〜く移動する。
事故が渋滞に輪を掛けて、結局、大月までずぅ〜っとストレスの溜まる徐行状態が続く。
椎間板ヘルニアで右足の神経の出口に圧迫を受けているワタシには、この中途半端な右足首の角度をキープするのは非常に苦痛なのである。
大月J.Cで分岐してからは快調に走れたが、普通なら1時間チョイのところを3時間かかってようやく到着できた。

G.Wやお盆よりもヒドイじゃねぇか。

天気予報では「曇り」となっていたが、到着したころには日差しもあってけっこう暑い。
それでも東京と比べれば、湿度の低さがなんと言ってもアドバンテージで爽やかである。

「さかな公園」も家族連れで入園を待つ行列ができている。
ワーク・スペースがあるので、多分、子供たちの夏休みの自由研究なんかに人気があるのだろう。
虫除けを塗って、ノンアルコール・ビアーを一缶流し込み、身支度をして近くの旅館へ入漁券を買いに行く。
自衛隊橋の上から川を覗くと、それなりに釣り人が入っている。
取り敢えず、橋の下が空いているので入ってタックルをセッティングする。
相変わらず、魚は沢山見えるしライズもある。

日差しが強い。
丸刈りのドタマが焦げる。脳みその水分が蒸発していく様である。
秘書は橋の下の日陰で涼んでいる。
春のシビアーでセレクティブな状況に比べれば、この時期ならテレストリアル・パターンでバンバン出るんじゃネェの?という安易な考えもあったのであるが・・・・・。

川岸は春に来た時と一変して猛々しいススキやら雑草やらが伸びに伸びて、釣りの出来る場所も限定されている。
新潟の渓で使う予定で巻いてあった#13のテレストリアルを7xのティペットに結んでキャストする。

「・・・・・・・・・・」。
コイツら、この時期でもこんなンなの?・・・・!。
そう、此処の魚クンたちはこんな季節でも選り好みが激しいと、いうことらしい。
そうアマくはないのである。

水面はまったく見ていないか、さもなくば完全に目標をセレクトして水面に浮上する。
ワタシはドライのみと、考えているのでドライ・フライを取っ換え引っ換え。
ギリまで見に来てUターン。

プレゼンもドリフトも完璧なハズだゾ。
とすると、やはりモンダイはフライにある。
明色系のテレストリアル・パターンに変えて、上流目一杯にキャストする。
対岸近くのカバーの下でライズしているヤマメ君たちは、フライ目掛けて口をあ〜ンと開けながら直前まで迫っておきながら「やっぱヤーメた」って感じでターンしやがる。
今度は狙いを流れの真ん中にいるヤツに変えてみる。
泥濘んでいる足元に注意しつつ、再びアップ・ストリームに目一杯キャストする。

すると今度は水面が弾けた。

すかさず合わせると確かな重みが加わってロッドがしなう。
いい距離で気持ち良く合った。
この感触は久し振りである。

程よくファイトした魚が寄って来た。
秘書がネットに納めてくれたのは、そこそこサイズのニジだった。

さあ、コレでイケそうな気がしてきたゾ。

すぐに次が来るものと思ってキャストを続ける。
ところが、出ない。
直前Uターンがつづく。

またフライを変えてはシカトされること暫し。
少しずつ上流へ移動していく。

S字のあたりでは反応する魚が多いので粘る。
明色系のテレストリアルには結構出る魚がいるのだが、なかなかフックアップしない。
若しくは、ちょっとフライから目を離している時に限っていつの間にか出ていたりする。
モチロン、そいつは間に合わない。

スカか合わせ切れ。
そんなことをやっているうちに昼を過ぎた。
つい、リキをいれてしまったが、気がつけば腹ペコだし、足腰がヘタってきている。

これはイカン。
はやくメシを食いにゆかねば。

自衛隊橋近くの洋食屋に入る。
昼時は少し外れているので、何組かの客はいるが席は空いていた。
ランチ・メニューからサイコロ・ステーキ定食と唐揚げ定食をオーダーする。
ついでにサラダを一つサイド・メニューで選んだのであるが、これがテーブルに運ばれてきてビックリ。

うわっ、デカっ!!スゴッ!!!
スライスしたキャベツの上には、トマト、レタス、スイカ、パインアップル、さらに生ハム、スモークサーモン、チーズ、蒸し鶏、カモのスモーク。
てんこ盛りである。完全に一品料理のレベルである。

サラダを中ほどまで切り崩したところで定食が運ばれてきた。
こちらはメインのほかに丼いっぱいのライス、サラダ、つけもの、トン汁、冷奴がついた定番のスタイルであるが、十分なボリュームがある。
味のほうはというと、これはウマい。

こんな事を書くと怒られてしまうかもしれないが、このあたりでは他にライバル店らしきモノもないことだし、ウデの磨きあいということもなさそうなので、正直、あまり期待はしていなかったのである。が、いい意味で裏切ってくれた。
定食メニューは一律\800台。
この味と量ならば安いといっていい。ファミレスだったらどう考えても\1,000越えの内容である。

それにしても、単品でとったサラダがすごい。
こういうモノだと知っていればオーダーしなかったシロモノである。
ウマイのである。
ただ、量がモンダイである。
値段で定食とほぼ同じ、気持ち上というだけあってそれなりの内容なのである。

定食は最後でライス一口を残してあとは食べ切った。
当然のことながら秘書は途中でギブ・アップしたので、私が残りのサラダと格闘する。
たっぷり歩いて腹ペコだったおかげで何とか完食できた。

満腹のハラをさすりさすり会計にいくと、店のおネェさんが、「キレイに食べてくれてありがとうございます!!」と、どうやら本気で言っているらしき風情なので、食べきれないだろうと踏んでいたようである。


さて、満腹で動けなくなった。
車に戻って昼寝を決め込む。

木陰のパーキングは涼しい風が抜けて爽やかである。なんと気持ちよく眠れることか。
午後のひと時、惰眠を貪る。

目が覚めると、随分と腹もこなれている。
栄養も回って元気になったゾ。
午後の釣りに行ってみようか。

午後からは上流に入る。

相変わらず決定打となるフライはBOXにはなく、たまに出る魚はフッキングしないか合わせ切れである。

対岸ギリに付いているいいサイズの魚は、最初の数投で何発か出たが、そこであわせ損ねたらあとはシカトのツブテである。
#13のフライと7xのティペットの組み合わせだと、合わせ切れを警戒して、つい、意識的に合わせを弱くしてしまう。すると対岸まで伸ばしたラインの長さではちょっと合わせが遅れがちになる。

それでも、そのうちにようやくフック・アップ。
アベレージ・サイズのニジがネットに入った。

このサイズでも十分に楽しませてくれる。
春にも会ったヅラ、黒子のネコちゃん。
また会えた。

前に会ったS字のポイントには居なかったので、どうしたのだろうかと、ちょっと心配していたのであるが、ずっと上流の民家の近くに居た。
相変わらずの人懐っこさである。

ちょいと、またがせてもらってキャスト。

次第に夕暮れの気配が降りて来る。

川面には霧が漂い始め、周囲も冷たい大気に包まれ始める。

ハッチは盛んで、魚たちはライズしている。
最初の一発でフライに出て合わないか、さもなくば暫くシカトされて気が緩んだ頃にバシッと出て合わないか。

暮れ始めると早い。
じきにフライを結べなくなる暗さがやってくるゾ。

ちょっと焦り始めるが、やっぱり決定打がないまま夕闇が迫ってくる。

最後に殆どフライも見えなくなる頃、エルクヘアー・カディスに変えて魚が盛んに反応し始めた。

何発か出て乗らず、微かに見えている「気がする」フライに何かが覆いかぶさった様に見えたのですかさず合わせるとズンっと乗った。

暗い中で何とか秘書がネットに収めてくれたのは、黒くて細長いニジであった。
これをラスト・ワンとしてロッドをたたむ。サスガに限界だ。

この辺りでは日が沈むと、東京では想像ができないくらい空気が冷えてくる。Tシャツでは寒い。
すっかり暗くなった道路を歩いて車まで戻る。

薄暮の中に富士山が浮かび上がる。山肌に点々と灯りの列が見える。

秘書の説明によると、最近は登山ブームで富士登山もかなりの人気らしく、暗い時間でもライトを点けて登るんだそうである。夜の間に登って、朝、ご来光を拝むということらしい。
ワタシには山歩きの趣味はないので、「ご苦労なこった。」と思うのみである。

出発前に渋滞情報をチェックすると、中央道登り線は20km前後の渋滞があるようだ。
今、真っ直ぐ帰るとモロに渋滞に嵌る。

道の駅「富士吉田」まで移動して、そこで寝ってからゆっくり帰る事にする。
寒いくらいに涼しくて、完全に眠っていなくてもウツラウツラしつつ、何となくゴロゴロしているのが心地よく、カー・ラジオを聞きながら起きるのを先延ばしにする。

午後10時近くになってようやく起き出して帰途に着く。
高速に乗ると、渋滞も解消しており1時間程で三鷹村に帰り着く。

★オマケPhoto