04.17  山梨県・忍野  @到着編


長かった。
長い、永い、シーズン・オフであった。
昨年の9月、最後に新潟の渓で〆て以来、この冬は諸々の事情で恒例としていた管釣りにも出かけずじまい。

とうとう今年の渓流シーズンが開幕し、それでもまだ出掛ける機会を得ず、半年以上もロッドを振っていないと禁断症状も通り越していよいよ末期症状に突入しようかと、いうところであった。
加えてこの気候である。
順調に暖かくなるかとおもえばまた冬に逆戻り、なんとも苛立たしい。


長く厳しい冬に閉ざされる北米で、「キャビン・フィーバー」が起きるのも真冬の真っ只中であるよりも、出口が見えそうで見えない春先であるとモノの本で読んだことがある。
ガマンに我慢を重ね、そろそろ冬も出口か?という兆しが見えそうでありながら、やっぱりまだ見えてこないそのモドカシサ。
そこでとうとう忍耐の糸がブチ切れる。ストレスの臨界点を越えてストッパーが外れる。
ある日突然、ファミリーのパパが発狂し家族全員を惨殺したのち自殺してしまう、などという事が起きるのだそうな。

スタンリー・キューブリックが監督し、ジャック・ニコルソンが主演した映画「シャイニング」はちょっとばかり古い作品であるが、コレはホラーではあるが、キャビン・フィーバーも隠しテーマになっていた。
地球温暖化が進んだ事であるし、インターネットも普及した今日では閉ざされた冬の楽しみも多様化しているであろうから、現在でもキャビン・フィーバーが発生しているのかは定かでないが・・・・。

私に至っては、ブチ切れる寸前でどうやらワクチン投与が間に合ったようである。
当初予定していた先週からお預けを食らったものの、ようやく出掛けられる運びとなった。

ところが、この天気はどうしたものか。
今週はまさに日替わりで暖冷が、それも激しく上下して入れ替わり、昨夜(金)に至っては雨から雪である。
普通なら「ヤメちゃおっか」というハナシになるところであろうが、今度ばかりはもう待てない気分なんである。


今回は、例によって山梨在住ファー・アーティストKさんと一緒に遊んでもらうコトになっている。

そのKさんに金曜の夜に電話を入れると、「今日はずっとミゾレだよ」ということであった。
土曜日の天気は午前中には回復するという予報である。
ならば行って見ようではないかと約束をして電話を切る。

夜、眠る前に窓から外をチラと見ると、雪である。前の家の広い庭や歩道はすでに薄っすらと白くなり始めている。
どうなることやら・・・・。

翌朝、シッカリ早起きして外を見てみると、降っているのは雨だがすっかり雪が積もっている。
路面にもシャーベット状の雪が乗っている。
予想以上の雪である。

ネットで道路状況をチェックすると、中央道は上野原あたりからチェーン規制となっている。
ちょっとばかりヤバそうであるが、ま、通行止めになっていなければいいのだよ。
今年はまだスタッドレスを履いたままだったのが幸いである。

駐車場へ行くと、車にも雨を吸ってドッシリと重くなった雪が積もっている。払い落とすのも一苦労である。
三鷹村を午前7:00頃に出発する。
ドライブ・スルーでバーガーを仕入れて調布から高速に乗る。
重い雲が低く垂れ込め、相変わらず小雨が降り続いている。この天気の割りにソコソコ車が出ているが、流れは悪くない。


(※全画像クリックで拡大・コメント付)
路肩にはやはりシャーベット状の雪が積もってる。

バーガーをパクつきながら走ってゆくと、下って行くにつれ路肩や周囲の山の雪が徐々に増えていく。
右ルートの途中で除雪作業車に前を塞がれた。
しばらく後をくっ付いてノロノロ進む。

左ルートと合流したところでようやく作業車をパスしてそこからは快調に走ることが出来た。

この頃になると所々、青空が覗き、眩い日差しが注ぎ始める。

河口湖で高速を下りて一般道に入ると、積雪量が格段に増すのである。

上下線ともサスガにノロノロと慎重に進んでいくしかない。
スタッドレスといえどもズルズル滑るのをイナシながら走る感じである。
途中、道の駅「富士吉田」に寄る。


トイレを済ませ、誰も居ない水汲み場でペットボトルにミネラル・ウォーターを汲み、出発する。

再び国道に復帰すると、道の駅から出た場所から渋滞している。
緩やかな登りになっているのであるが、すぐ先で大型トラックが路肩を踏み外して傾いて止まっている。
それを避けるために渋滞が起きているのであった。
ようやく渋滞をパスするも、その先も次第に路面を覆う雪は増えていき、国道から自衛隊通りに入ると、車も余り走っていないらしく、全面的に雪道となっている。下りだから何とか進めると言うレベルである。

やがて何とか市営パーキングに辿り着いた。


時刻はすでに午前9:30近くになっている。

これではすぐに釣りというカンジでもないので、忍野八海を覗きにいってみる。

「釣り師山を見ず」とはいうが、我々も釣りには来てもまだ忍野八海を見たことがなかったのである。
「釣り師八海を見ず」というわけである。

この道路状況では観光客も少ないだろうと思っていたのであるが、驚いたことに既に数台の観光バスが到着していて、ゾロゾロと団体さんが歩いている。

聞こえてくる会話は、「○○××△△????」。ああ、海外からなのだね。
中国か、韓国か、その辺りである。ことごとく。
海外からのツアーならば、組み込まれている予定はちょっとやそっとの事で変更するわけにもいかんのであろうから、こんな道路事情の悪い時でも繰り込んでくるのだね。

それにしても彼らは、しゃべる声もでかいし、団体だし、パワフルなカンジで何だか圧倒されてしまいますナ。

土産物屋に入って買い物をすると、レジのオバちゃんたちはみな一様に、まずあちらの言葉で話しかけてくるのであった。
見た目じゃ、日本人でも区別がつかないだろうから、とりあえず一律、アチラの言葉で話し始めるコトにしているのであろう。
今やおカネを落としていってくれるお得意さんは、ドメスティックよりも、こうした海外からの観光客であるが故、売り手の皆さんもシッカリ販売用の会話くらいは勉強していらっしゃると、いうことらしい。

昼には、これはアメリカ人と一瞥で知れる一団がワラワラとやって来たのを見掛けたが、これはバスのナンバー・プレートから米軍関係者であると判った。

外国人観光客に人気なんですナァ。
そんな事になっているとは全く今の今まで触知されることがなかったので、ちょっと意外であった。
キレイな水の湧く場所は「パワー・スポット」ということになっているらしいので、人気の理由はそんなところにもあるのであろうか?

一通り散策して、釣りが出来る状態なのかを確かめようと流れの分岐地点に行ってみる。
川沿いはまだ1人か2人が歩いた足跡が点々とついているのみで、釣り人の姿は見えない。

八海側からの流れは、雪解けの泥水が流入してコーヒー色に濁っているが、本流側はクリアーである。
魚も見えるし元気にライズもしている。
ユスリカやストーンのハッチもある。
これなら釣りも出来るし、しかも貸切状態だゾ。

Kさんファミリーが到着する。
夫妻、2頭の愛犬ナスとタローも元気そうである。

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